M4701●江戸明治和本等＞人相極秘 孝行になるの伝受 脇坂義堂 享和2年 心学

●江戸明治和本●〈人相極秘〉孝行になるの伝受［孝行になるの伝授］
【判型】半紙本1冊。縦228粍。
【作者】脇坂義堂作。
【年代等】享和2年5月初刊。江戸後期再刊。刊行者不明。
【備考】分類「心学」。底本題簽「銀のなる木の伝受」は表紙または題簽の付け違い。『〈人相極秘〉孝行になるの伝受』は、継母との人間関係に悩む男が観相の翁へ相談するという設定で、気難しい継母に仕えるための「心相（心懸け）」について尋ねる。翁は「ならぬ堪忍が孝子の相となり、孝子たれば天が幸いを下して状況が好転する」と諭すが、男は「ここまで数年辛抱してきたが、これ以上の堪忍をすれば責め殺されてしまう」と歎く。再び翁は、「この世は全て責め殺されて死んでしまうもの」で、僧は法のために死し、家来は主のために死し、妻は夫のため、弟は兄のために死す、ましてや義理ある親のために死するこそ子たる道の幸いであり、これにまさる人の果報も手柄もないと説く。さらに、南都猿沢出身の孝女おともが孝行の限りを尽くすも、継母のいじめは激しさを増し、ついに絶望の心境で猿沢の池に身を投じる覚悟をするが、その一部始終を垣間見た継母が初めて悔悛し、その後は世間が羨むような仲睦まじい親子になった物語の後で、ならぬ堪忍が孝の相をもたらし、天がこれを助けていかなる母親も道に至ることを諭し、「母の母たらざるは母の母たらざるにあらず、汝が子の子たるの心相にあらざる故也」と喝破する。男は感涙し、おともを模範とすることを誓い、「よしあしの人にはあらで我にあり　形直ふて影もまがらず」の真意を初めて悟ったという。なお、孝女おともの逸話は、鎌田柳泓作、文政2年刊『心の花実』にも引かれている。なお、原題簽下部の「円」は「福寿円満」のシリーズ（和合長久の伝授［福］・福相になるの伝授［寿］・孝行になるの伝授［円］・銀のなる木の伝授［満］）の一つを示す。また、『江戸出版書目』351頁に「孝行になるの伝授　全二冊　墨付三十六丁／同（享和）二年戌二月／脇坂義堂著／板元　京　八文字屋仙次郎／売出　須原や茂兵衛」とある。
★原装・題簽付・状態概ね良好。【参考価格（初出品時の相場）：日本の古本屋で、題簽欠が、5,500円】。

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